意匠法は、物品のデザインを保護します。意匠登録出願をするには、そのデザインを書面に表して特許庁に提出します。意匠登録出願に必要な書類は、「願書」「図面」です。なお、図面に代えて、写真,ひな形,又は見本も提出可能です。
意匠登録出願は、特許出願と違って、出願審査請求をしなくても、意匠権を付与すべきか否かの審査がされます。
意匠登録出願の図面は、原則、出願後には補正できません。このため、出願前に立てる戦略が、権利化の可能性を高め、できる限り広く且つ権利行使しやすい権利を得るためのキーポイントになります。
弊所では、できる限り広く且つ権利行使しやすい強い権利を取得するべく、出願前に周辺の先行意匠を分析し、その物品分野において要部となり得る部分等を把握した上で、権利化について見通しを立ててから出願書類の作成をしています。
このため、「新たに作った製品のデザインについて真似されるのを防ぎたい」ということだけでなく、ご要望があれば、「新製品を販売予定だが、これについて戦略的に意匠出願をして効果的な意匠網を作りたい」等のご相談についてもアドバイスさせて頂いております。
また、戦略を立てずにやみくもに意匠登録出願をした場合、いたずらに費用が嵩むだけで狙い通りの権利が得られないことがあります。弊所では、戦略を立てるに当たって、ポイントを押さえつつコストを抑えた意匠登録出願のご提案もしています。
さらに、既に意匠権をお持ちの方は、その意匠権の権利範囲に最大限の注意を払って新規の意匠登録出願をすべきですので、この点についてもアドバイスいたします。
出願から3ヵ月~10ヵ月程度で特許庁から最初の審査結果が通知されます。
最初に通知される審査結果には、特許出願と同様に、登録可能であることを示す登録査定と、登録できない理由を通知する拒絶理由通知とがあります。
拒絶理由が通知されてから40日以内に拒絶理由に対して意見を述べることができます。この期間に意見書を提出して、拒絶理由に反論します。
意見書によって拒絶理由が解消できず、拒絶査定がなされた場合でも、その判断に不服があれば、拒絶査定不服審判を請求することができます。審判では、複数名の審判官の合議体によって審理されるため、妥当な判断がなされる可能性が高いです。
この合議体の判断でも意匠登録が認められない場合(拒絶審決)には、知的財産高等裁判所に訴訟を提起して、審決の取り消しを求めることができます。
登録査定がなされてから30日以内に登録料を納付することで、意匠権が成立し、特許庁から登録証が送られてきます。以後、各年の登録料を納付することで、意匠権が維持されます。
登録査定後には、秘密意匠の請求をするかどうかの最終確認をさせて頂きます。また、それと同時に、関連意匠登録出願,部分意匠登録出願,部品の意匠登録出願について、別途出願をするかどうかも確認します。
特に、関連意匠登録出願,部分意匠登録出願,部品の意匠登録出願について、この時期に最終確認を行うことは、以下の点で効果的であると考えています。
登録された意匠は、登録査定から1ヵ月程度経過すると、その内容が公開されますが、公開後は、登録された意匠に表れた部分的なデザインについて権利化を図ることができません。このため、登録査定から公開されるまでの1ヵ月程度の期間が、登録された意匠に表れた部分的なデザインについて権利化できる最後のチャンスとなります。