海外で権利行使を見据えた強い権利を取得する事を常に心がけております。国内出願の段階から外国出願を視野に入れたアドバイスを積極的に行うことはもちろんのこと、後に外国出願をする場合にも、各国特許制度の特徴を踏まえて、出願国に応じた明細書を作成し、ご依頼者の権利取得を強力にサポート致します。
長年にわたり、米国や欧州などの先進国だけでなく、東南アジアや中南米等の様々な国のパートナー事務所と密に連携し、海外での権利化、権利の活用や紛争解決に係る業務を多数行ってきております。また海外パートナーとの直接面談等を通じて、各国の知的財産に関する情報をシェアするなどのパートナーシップ強化に努めております。
外国パートナー事務所とのパートナーシップを通じて培ってきた豊富な経験と知識を基に、出願から登録だけでなく、複数国への情報提供、異議申立、外国での権利行使、侵害訴訟など、幅広い場面で対応できます。また、権利の活用についてもアドバイスさせて頂きます。
弁理士や特許技術者だけでなく事務スタッフも国内や外国で開催されるセミナーに積極的に参加し、外国特許制度の知識を深めることはもちろんのこと、グローバルな視点を養っております。さらにセミナー参加後、所内で報告会を行い知識を共有化するなど、所員が一丸となって、ご依頼者のグローバルビジネスをサポートする体制を整えています。
◆EPC、GCC加盟国含
記載以外の国/地域への出願にも対応致しますので、お気軽にお問い合わせください。
日本で取得した特許権や実用新案権は、日本国内においてのみ、その権利が及びます。外国でもこれらの権利に係る発明を保護する場合は、その国毎に、権利を取得する必要があります。
【A】日本の特許庁にした出願(基礎出願)に基づいて外国での権利化を目指すには、以下の2つの方法があります。
いずれの場合も、出願期限は基礎となる日本出願の出願日から1年以内に行うことが必要です。
パリ条約に基づき、直接権利を取得したい国の特許庁へ出願して、各国での審査を受ける。
特許協力条約(PCT : Patent Cooperation Treaty)制度に基づき、基礎日本出願の優先権主張を伴って、国際出願を行い、国際調査機関から送達される特許性の見解を判断してから、日本を含む数多くの中から権利化を必要とする国を選択して、各国での出願に移行して、各国ごとの審査を受ける。
【B】日本でまだ基礎出願をしていない場合は、
最初に、国際出願を行い、国際調査機関から送達される特許性の見解を判断してから、日本を含む数多くの国の中から権利化を必要とする国への出願に移行し、各国ごとの審査を受ける。
①~③のルートにはいずれにもメリット、デメリットがあるので、ご依頼者の要望や状況に応じて、いずれのルートが最善かどうか提案します。ここで、以下のフローチャート・比較表が①~③のルートを採択する際の一応の目安となります。
表:パリルート出願・PCT出願の特徴
①パリルート出願 | ②優先PCT出願 ③直接PCT出願 | |
---|---|---|
費用 | 少数の国なら割安 | 多数の国なら割安 |
権利化 | 早い | 遅い(時間的猶予がある) 実際に、各国への出願手続きを行うのは、最初の出願日(日本出願に基づく場合は、日本出願の日、直接PCT出願を行う場合は、PCT出願日)から、30カ月後まで猶予あり、権利化はそれ以降 |
言語 | 各国に対応した言語に翻訳して出願 | 日本語出願可※移行時に各国の言語に翻訳 |
手続 | 各国の方式に則る必要がある | 国際段階では統一されている |
その他 | ●原則、各国で定められた言語に翻訳した上で出願する必要があるため、出願の準備に時間を要する上、短期間で行わなくてはならない ●PCT加盟国でなければ、パリルートに限られる(殆どの国はPCT加盟国、台湾は除外) |
●国際調査報告書によって、その発明について新規性や進歩性があるかどうか知ることができ、権利化の可能性の判断ができる ●国際調査報告書は、国際出願の日から3カ月程度で送達されるので、早い時期に権利化の予測が可能 |
権利を取得したい国がパリ条約の同盟国であれば、日本での特許出願又は実用新案登録出願を基礎として、パリ条約による優先権主張を伴った出願(優先権出願)をパリ条約同盟国の各国特許庁にすることが可能です。
優先権を主張すれば、日本で出願した日(優先日)を基準に新規性、進歩性が判断されます。ただし、優先日から12ヶ月以内に、権利を取得したい国の特許庁に優先権出願を行い、所定の書類を提出する必要があります。
また、出願時の書式や、優先権書類・翻訳文の提出期限等は、権利を取得したい国で定められている法や規則に従う必要があります。
国際的に統一された基準に則った手続を踏んで受理官庁(日本の場合、日本特許庁)に国際出願し、方式審査を通過すれば、その出願はPCTに加盟しているすべての国で出願されたものとみなされます。なお、権利を取得するには、移行手続を行って権利を取得したい国を指定し(指定国)、指定国毎に実体審査を受ける必要があります。国際出願は、日本でした特許出願又は実用新案登録出願に基づいて優先権主張をすることができます。
日本特許庁を受理官庁とする場合、最初に日本語(又は英語でも可)で国際出願を行い、その後、国内移行するまでに(原則として優先日から30ヶ月以内)指定国に対応した言語の翻訳文を提出すれば良いので、正確な翻訳が可能です。
国際出願後、約3カ月後、特許性の見解が示された国際調査報告及び見解書が作成されます。
この国際調査報告や見解書から、権利化の可能性の判断ができるため、必要であれば、補正を行って国内段階に進むことができます。残念ながら、権利化が期待できない場合は、国内移行をしないことで、パリルート出願を行った場合に比べて、外国出願全体の費用を抑えることができます。また、優先権期間(基礎出願から1年以内)であれば、国際調査報告書での否定的な見解を覆すことができる新しい特徴を追加した新たな国際出願を行うことも可能です。
指定国毎に国内移行された出願は、優先日(日本出願を基礎としてPCT出願した場合は日本出願の出願日)に出願されたものとして、指定国の審査基準に則って実体審査されることとなります。
日本でまだ基礎出願をしておらず、日本と外国で権利を取得する場合には、日本で基礎出願をせずに直接、国際出願を行い、その後日本と権利を取得したい国を選択して国毎に審査を受ける方法です。
最初の出願を国際出願とすることで、基礎出願を出す手間や費用負担の削減となり、特許性の判断を示す国際調査報告も早い時期に得ることができます。これらの理由から、近年では直接PCT出願を行う出願人も増えてきています。
もちろん、ひとまず日本で出願を行ってから、それを基礎出願にしてパリルートやPCTルートを採択することもできます(前述①、②のルート)。特に、最初の日本出願を行ってから、実施の形態に変更が予想される場合などは、最初の日本出願に、追加の特徴を加えてPCT出願を行うことができます。具体的な方針については、発明の内容、事業化の状況に応じて提案させていただきますので、ご相談下さい。