出願経過において主張した内容と矛盾する内容の主張を侵害訴訟の場面で行うことは許されないという原則。侵害訴訟における被告の抗弁のひとつであり、信義則(民法1条2項)に由来する。英米法においては、ファイル・ラッパー・エストッペル(file wrapper estoppel)と呼ばれる。
例えば、権利を取得する過程で、審査官に引用された文献に記載された技術(引用発明)と、権利取得を望む発明との違いを主張し、その主張が認められて特許になった場合において、後に、その特許に基づいて特許権侵害訴訟を提起したとする。被告の実施する被疑侵害品が、出願経過において引用された引用発明と同じ技術であれば、包袋禁反言の法理に基づき特許権侵害は成立しない。出願経過においてした「引用発明(被疑侵害品と同じ)は、本件特許発明の技術的範囲に属さない」という主張と、侵害訴訟においてした「被疑侵害品は本件特許発明の技術的範囲に属する」という主張とが矛盾するからである。