事件番号等
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平成29年(行ケ)第10150号 審決取消請求事件
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裁判年月日
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平成30年10月29日
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担当裁判所
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知的財産高等裁判所(2部)
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権利種別
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特許権(「果菜自動選別装置用果菜載せ体と,果菜自動選別装置と,果菜自動選別方法」)
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訴訟類型
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行政訴訟:審決(無効・成立)
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結果
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請求棄却
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主文
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- 原告の請求を棄却する。
- 訴訟費用は原告の負担とする。
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趣旨
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- 特許庁が無効2013-800038号事件について平成29年6月12日にした審決を取り消す。
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取消事由
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- 取消事由1(本件補正に係る認定判断の誤り)
- 取消事由2(本件訂正に係る認定判断の誤り)
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裁判所の判断
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- 取消事由1及び2には,いずれも理由がない。よって,主文のとおり判決する。
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キーワード
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補正・訂正の許否(新規事項の追加,要旨変更)
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実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
訂正請求に係る請求書の補正は,その要旨を変更するものであってはならないものとされている(特許法134条の2第9項で準用する同法131条の2第1項)。訂正請求書に対する補正に内容的な制限を設けた趣旨は,訂正請求についての審理手続の安定を図り,かつ,訂正請求の時期的な制限の規定(同法134条の2第1項本文)が請求書の補正によって事実上潜脱されることを防ぐ点にある。そして,訂正請求をする者は,「請求の趣旨」及び「請求の理由」を記載した請求書を提出しなければならないとされていること(特許法134条の2第9項で準用する同法131条1項),訂正請求をするときは,請求書に訂正した明細書,特許請求の範囲又は図面を添付しなければならないとされていること(特許法134条の2第9項で準用する同法131条4項)に照らすと,訂正請求書における「その要旨を変更する補正」とは,「請求の趣旨」に記載され特定された「請求を申し立てている事項」の同一性に実質的な変更を加えるような補正一般を指すというべきであり,補正の前後で訂正請求の審理範囲が実質的に変更される場合は,訂正請求書の要旨の変更に該当すると解すべきである。
特許請求の範囲を減縮する訂正請求をした後に,上記減縮の範囲を狭める内容の訂正請求書の補正(補正後の訂正請求による特許請求の範囲が補正前の訂正請求による特許請求の範囲よりも広くなる補正)をする場合には,補正後の訂正請求による特許請求の範囲は訂正請求前の特許請求の範囲を減縮するものではあるが,補正の前後で訂正請求の審理範囲が実質的に変更されるときは,訂正請求書の要旨の変更に該当すると解すべきである。
判決文