PCT国際出願を行う際に、その出願を受け付ける国内官庁または政府機関のこと。
原則は、出願人の国籍または住所のある締約国の特許庁が管轄の受理官庁になる。
例えば、日本在住の出願人がPCT国際出願を行う場合、日本国の特許庁が受理官庁となり、PCT国際出願を受け付けてくれる。
日本在住の日本人が、米国で特許出願を行った後、この米国での特許出願を基礎にして、優先権を伴うPCT国際出願を行う場合においても、米国特許商標庁(USPTO)ではなく、日本の特許庁を受理官庁として、PCT国際出願を行う必要がある。仮に、日本の特許庁ではなく、米国特許商標庁を受理官庁としてPCT国際出願を行った場合、国際出願日が認定されないこともあるため、注意が必要((PCT11条(1)(ⅰ))。
また、PCT締約国の国民または居住者であれば、日本国特許庁ではなく、WIPO国際事務局を受理官庁として、直接出願することもできる。
優先期間内にPCT国際出願をできなかった場合に、受理官庁と国内段階移行時の指定官庁が採用する基準に該当する場合には、優先権の回復が認められる(期間満了日から2カ月以内)。この回復の基準には、”厳格な基準”(相当の注意を払っていた)と、”緩やかな基準”(故意でない)があり、日本国特許庁は”厳格な基準”を採用し、WIPO国際事務局は”緩やかな基準”を採用している。
このため、優先権の回復の制度を利用する場合には、日本国特許庁ではなく、WIPO国際事務局に直接出願することが有効である。