事件番号等
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平成29年(ワ)第38795号 民事訴訟請求事件
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裁判年月日
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平成30年2月28日
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担当裁判所
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東京地方裁判所(民事第29部)
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権利種別
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特許権(「半導体装置」)
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訴訟類型
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民事訴訟
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結果
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請求棄却
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主文
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- 原告の請求を棄却する。
- 訴訟費用は原告の負担とする。
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趣旨
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- 被告は,原告に対し,1000万円を支払え。
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争点
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- 本件発明に係る相当の対価の額は幾らか(争点1)
- 本件対価請求権は時効により消滅したか(争点2)
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裁判所の判断
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- 特許法35条3項の規定による相当の対価の支払を求める請求権は,従業者等と使用者等との衡平を図るために法が特に設けた債権であるから,その消滅時効期間は10年と解すべきである(民法167条1項)ところ,上記説示したところによれば,仮に,本件発明に係る相当の対価であって,未払のもの(不足額)が存在していたとしても,原告が本件訴訟を提起した時点(当庁が訴状を受け付けた平成29年11月15日)より前に,消滅時効が完成していたことは明らかである(民法166条1項,167条1項)。
- したがって,被告が本件の第1回口頭弁論期日(平成30年1月15日)に上記時効を援用したこと(当裁判所に顕著な事実)により,本件対価請求権は,時効により消滅したというべきである。
- 以上によれば,その余の争点につき判断するまでもなく,原告の請求には理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
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キーワード
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対価請求権/時効/特許法35条3項/職務発明/民法167条1項
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実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
特許法35条3項は,「従業者等は,契約,勤務規則その他の定により,職務発明について使用者等に特許を受ける権利…を承継させ…たときは,相当の対価の支払を受ける権利を有する。」と規定しているから,同条項に基づく相当の対価の支払請求権は,原則として,特許を受ける権利を承継させたときに発生し,その時点から,権利を行使することができることになり,その時点が本件対価請求権の消滅時効の起算点となるものというべきである。
もっとも,勤務規則その他の定に,使用者等が従業者等に対して支払うべき対価の支払時期に関する条項がある場合には,その支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となると解される(最高裁平成13年(受)第1256号同15年4月22日第三小法廷判決・民集57巻4号477頁参照)。
判決文