平成28年(行ケ)第10270号 審決取消請求事件:SeaGull-LC
事件番号等
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平成28年(行ケ)第10270号 審決取消請求事件
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裁判年月日
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平成29年6月28日
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担当裁判所
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知的財産高等裁判所(第3部)
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権利種別
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商標権(「SeaGull-LC」)
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訴訟類型
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行政訴訟(拒絶・成立)
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結果
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請求棄却
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趣旨
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- 特許庁が不服2016-10218号事件について平成28年11月2日にした審決を取り消す。
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取消事由
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以下の理由により,本願商標と引用商標とは非類似の商標であるから,本願商標につき引用商標に類似し法4条1項11号に該当するとした本件審決の判断は誤りであって,本件審決は取り消されるべきである。
(1) 本願商標の認定について
ア 本願商標は,外観上まとまりよく一体的に構成されている。
イ 本件商標は,長音を含めて8文字という比較的短い構成からなるため,よどみなく一連に「シーガルエルシー」と称呼し得る。「-」(ハイフン)があるからといって,そこで区切って称呼されることはない。
ウ 「LC」は商品の品番,等級等を表す記号又は符号として用いられていない。
商品の品番,等級等を表す記号又は符号として用いられるのは,一般的に,数字,欧文字一字であって,欧文字二字が品番等を表す記号等に用いられることは稀である。欧文字二字が品番等を表す記号等に用いられる具体例はあるものの,「LC」が用いられることは皆無である。
エ 引用商標は,指定商品「業務用電子計算機用プログラム」の分野において著名でないから,本願商標の前半部分「SeaGull」のみが一般取引において特に注目されることはない。したがって,本願商標につき,前半部分「SeaGull」のみが分離されて類否が判断されることはない。
オ 原告は,本願商標を付したDVDに記録され,又はダウンロード可能なコンピュータプログラム及びサービスを,平成27年4月から平成28年12月までに1815件販売し,その販売高は約3億円である。その販売の際に「SeaGull」と「LC」を分離して使用することはないため,本願商標は,一体として取引関係者に知れ渡っている。また,本願商標を使用した商品は,一般消費者ではなく,地方自治体,医療機関,民間企業を対象とした業務用のものである。このため,広告宣伝は各種展示会や営業マンによるパンフレット配布が主である。また,本願商標を使用した商品の需要者は,専門的知識及び高度の注意力を有する取引者であり,このような取引者は,本願商標と引用商標の違いを容易に認識し得る。
(2) 本願商標と引用商標の対比
ア 称呼
上記のとおり,本願商標は全体として把握されるべきものである。このため,本願商標からは「シーガルエルシー」の称呼のみが生じる一方,引用商標からは「シーガル」の称呼が生じる。
イ 観念
上記のとおり,本願商標は原告の販売する商品について使用されているため,本願商標からは原告が販売する商品が想起されるのに対し,引用商標からは「海カモメ」の観念を生じる。このため,本願商標と引用商標とは,観念上類似しない。
ウ 外観
本願商標は,前半部分の「SeaGull」のうち「S」と「G」が大文字,他の文字が小文字という特徴を有する上,後半部に「-LC」が結合されているのに対し,引用商標は「SEAGULL」のみからなる。このため,本願商標は,引用商標とは外観上異なる。
エ 以上より,本願商標と引用商標は,称呼,観念及び外観を総合的に観察した場合,相紛らわしいとはいえず,非類似の商標である。
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裁判所の判断
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- よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却する。
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キーワード
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商標の類否判断/出所混同
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判決文