事件番号等 |
平成28年(行ケ)第10087号 審決取消請求事件 |
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裁判年月日 |
平成29年1月17日 |
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担当裁判所 |
知的財産高等裁判所(第4部) |
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権利種別 |
特許権(「物品の表面装飾構造及びその加工方法」) |
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訴訟類型 |
行政訴訟(無効・不成立) |
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結果 |
請求棄却 |
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趣旨 |
特許庁が無効2015-800092号事件について平成28年3月7日にした審決を取り消す。 |
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取消事由 |
(1) 明確性要件の判断の誤り(取消事由1) (2) サポート要件の判断の誤り(取消事由2) (3) 実施可能要件の判断の誤り(取消事由3) (4) 本件特許発明の容易想到性の判断の誤り(取消事由4) |
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裁判所の判断 |
原告主張の取消事由はいずれも理由がないから,原告の請求を棄却する。 |
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キーワード |
進歩性(引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断)/サポート要件/明確性/実施可能要件/審理範囲/用語の意義(「金属材料」) |
実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
本件明細書には,「金属材料としては,…などの金属,…などの合金,酸化珪素,酸化チタン,ITO,DLC,窒化チタン,炭化チタンなど」(【0024】)というように,合金をはじめとして金属そのものでない物質も金属材料に含めて記載している。さらに,本件特許発明において課題解決のために必要とされる装飾模様(P)は,この「金属材料」を層着した「金属被覆層(2)」が呈する金属光沢と,剥離部(21)において表面の露出した基材(1)の外観との相違によって形成されるものであり,金属固有のほかの性質を利用したものではない。したがって,上記「金属材料」には,金属に当たるとはいい難い物質であっても,層着された状態で金属光沢を呈する材料であれば,これに含まれると解するのが相当である。
実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
特許無効審判の審決に対する取消訴訟においては,審判で審理判断されなかった公知事実を主張することは許されない(最高裁昭和42年(行ツ)第28号同51年3月10日大法廷判決・民集30巻2号79頁)。 しかし,審判において審理された公知事実に関する限り,審判の対象とされた発明との一致点・相違点について審決と異なる主張をすること,あるいは,複数の公知事実が審理判断されている場合にあっては,その組合せにつき審決と異なる主張をすることは,それだけで直ちに審判で審理判断された公知事実との対比の枠を超えるということはできないから,取消訴訟においてこれらを主張することが常に許されないとすることはできない。