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平成28年(ワ)第38103号 損害賠償請求事件:太陽光発電装置,太陽光発電パネル載置架台,太陽光発電装置の施工方法,太陽光発電パネル載置架台の施工方法

  • 2018/11/20
  • 知財裁判例速報

事件番号等

平成28年(ワ)第38103号 損害賠償請求事件

裁判年月日

平成30年10月17日

担当裁判所

東京地方裁判所(民事第29部)

権利種別

特許権(「太陽光発電装置,太陽光発電パネル載置架台,太陽光発電装置の施工方法,太陽光発電パネル載置架台の施工方法」)

訴訟類型

民事訴訟

結果

請求一部認容

主文

  1. 被告は,原告に対し,1085万7600円及びこれに対する平成28年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  2. 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
  3. 訴訟費用はこれを10分し,その9を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
  4. この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

趣旨

被告は,原告に対し,1億1581万4400円及びこれに対する平成28年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

争点

(1) 被告各方法は,文言上,本件発明の技術的範囲に属するか(争点1)
 ア 被告方法1は構成要件Bの「地面に形成された基礎形成用溝」を充足し,構成要件Bを前提とする構成要件A,CないしEを充足するか(争点1-1)
 イ 被告方法2は構成要件Bの「柱部材を配置し」を充足し,構成要件Bを前提とする構成要件A,CないしEを充足するか(争点1-2)
(2) 被告各方法は,本件発明と均等なものとして,その技術的範囲に属するか(争点2)
 ア 「地面に形成された基礎形成用溝」についての均等侵害の成否(争点2-1)
 イ 「柱部材を配置し」についての均等侵害の成否(争点2-2)
(3) 本件特許は特許無効審判により無効とされるべきものか(争点3)
 ア 本件発明は本件出願日前の原告関連会社による太陽光発電装置の施工により新規性を欠くか(争点3-1)
 イ 本件発明は特開2011-181670号公報等により進歩性を欠くか(争点3-2)
(4) 被告による被告各方法の使用は原告の実施許諾による通常実施権に基づくものか(争点4)
(5) 損害の発生の有無及びその額(争点5)

裁判所の判断

  • (争点1-1)被告方法1のその他の構成は前記2(1)のとおりであり,本件発明の「柱部材」に相当すると認められる支柱となる単管パイプ及び本件発明の「接続部材」に相当すると認められる長尺単管パイプは,いずれも足場パイプによって形成されていると認められるから,被告方法1は,本件発明の構成要件を全て充足する。よって,被告方法1は,本件発明の技術的範囲に属する。
  • (争点1-2)被告方法2のその他の構成は前記2(2)のとおりであり,本件発明の「柱部材」に相当すると認められる支柱となる単管パイプ及び本件発明の「接続部材」に相当すると認められる長尺単管パイプは,いずれも足場パイプによって形成されていると認められるから,被告方法2は,本件発明の構成要件を全て充足する。よって,被告方法2は,本件発明の技術的範囲に属する。
  • (争点3-1)本件発明が,本件出願日より前に,日本国内において公然実施された発明であるとは認められないから,原告関連会社による山王自治会装置の10 施工により新規性を欠くとはいえない。
  • (争点3-2)以上によれば,本件発明は,当業者が本件出願日当時乙1発明等に基づき容易に発明をすることができたものとは認められないから,乙1発明等に基づき進歩性を欠くとはいえない。
  • (争点4)被告による被告各方法の使用は原告の実施許諾による通常実施権に基づくものであったとはいえない。
  • (争点5)本件発明の実施に係る実施料率としては,太陽光発電パネルの出力1kw当たり3万円と認めるのが相当であり,本件における特許法102条3項による損害額は,3万円に本件各土地の太陽光発電パネルの出力を乗じて算定するのが相当である。そうすると,本件各土地の太陽光発電パネルの出力は,前記第2の2前提事実(4)のとおりであって,合計361.92kwであるから,本件における特許法102条3項による損害額は合計1085万7600円(本件土地1につき3万円に84.24kwを乗じた252万7200円,本件土地2につき3万円に277.68k5 wを乗じた833万0400円の合計)である。
  • (結論)以上によれば,原告の請求は,被告に対し,1085万7600円及びこれに対する不法行為後の日であり,訴状送達日の翌日である平成28年12月14日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるから,この限度で認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。

キーワード

構成要件充足性/通常実施権/特許法102条3項



 

判決文