事件番号等
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平成29年(行ケ)第10202号 審決取消請求事件
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裁判年月日
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平成30年4月27日
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担当裁判所
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知的財産高等裁判所(第4部)
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権利種別
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特許権(「平底幅広浚渫用グラブバケット」)
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訴訟類型
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行政訴訟:審決(無効・不成立)
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結果
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請求棄却
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主文
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- 原告の請求を棄却する。
- 訴訟費用は原告の負担とする。
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趣旨
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特許庁が無効2010-800231号事件について平成29年10月6日にした審決を取り消す。
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取消事由
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(1) 引用発明1に基づく進歩性判断の誤り(取消事由1)
(2) 引用発明2に基づく進歩性判断の誤り(取消事由2)
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裁判所の判断
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- 発明の容易想到性については,主引用発明に副引用発明を適用して本件発明に至る動機付けがあるかどうかを判断するとともに,適用を阻害する要因の有無,予測できない顕著な効果の有無等を併せ考慮して判断することとなるところ,原告は,第3次審決に係る審判手続及びその審決取消訴訟において,引用例1又は2に基づく容易想到性を肯定する事実の主張立証を行うことができたものである。これを主張立証することなく前訴判決を確定させた後,再び開始された本件審判手続及びその審決取消訴訟である本件訴訟に至って,原告に,前訴と同一の引用例である引用例1及び2から,前訴と同一の本件発明を,当業者が容易に発明することができたとの主張立証を許すことは,特許庁と裁判所の間で事件が際限なく往復することになりかねず,訴訟経済に反するもので,行政事件訴訟法33条1項の規定の趣旨に照らし,許されない。よって,原告主張の取消事由1及び2は理由がない。
- 以上検討したとおり,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
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キーワード
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判決の拘束力
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実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
(1) 特許無効審判事件についての審決の取消訴訟において審決取消しの判決が確定したときは,審判官は特許法181条2項の規定に従い当該審判事件について更に審理,審決をするが,再度の審理,審決には,行政事件訴訟法33条1項の規定により,取消判決の拘束力が及ぶ。そして,この拘束力は,判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたるものであるから,審判官は取消判決の認定判断に抵触する認定判断をすることは許されない。
したがって,再度の審判手続において,審判官は,取消判決の拘束力の及ぶ判決理由中の認定判断につきこれを誤りであるとして従前と同様の主張を繰り返すこと,あるいは上記主張を裏付けるための新たな立証をすることを許すべきではない。
また,特定の引用例から当該発明を特許出願前に当業者が容易に発明することができたとはいえないとの理由により,容易に発明することができたとする審決の認定判断が誤りであるとして審決が取り消されて確定した場合には,再度の審判手続に当該判決の拘束力が及ぶ結果,審判官は同一の引用例から当該発明を特許出願前に当業者が容易に発明することができたと認定判断することは許されない。
したがって,再度の審決取消訴訟において,取消判決の拘束力に従ってされた再度の審決の認定判断を誤りであるとして,これを裏付けるための新たな立証をし,更には裁判所がこれを採用して,取消判決の拘束力に従ってされた再度の審決を違法とすることが許されないことは明らかである(最高裁昭和63年(行ツ)第10号平成4年4月28日第三小法廷判決・民集46巻4号245頁参照)。
判決文