平成29年(ネ)第10069号 特許権侵害差止等請求控訴事件:負荷試験機
事件番号等
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平成29年(ネ)第10069号 特許権侵害差止等請求控訴事件
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裁判年月日
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平成29年12月13日
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担当裁判所
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知的財産高等裁判所(第3部)
(原審・東京地方裁判所平成28年(ワ)第5095号)
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権利種別
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特許権(「負荷試験機」)
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訴訟類型
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民事訴訟
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結果
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控訴棄却
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趣旨
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- 原判決を取り消す。
- 被控訴人は,原判決別紙物件目録記載の負荷試験機を製造,販売及び使用してはならない。
- 被控訴人は,原判決別紙目録記載の負荷試験機を廃棄せよ。
- 被控訴人は,控訴人に対し,2833万円及びこれに対する平成28年3月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
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争点
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(1) 被告物件は本件発明の技術的範囲に属するか(争点1)
具体的には,次の点が争われている。
ア 被告物件の構成はいかなるものか(争点1-1)
イ 被告物件は,文言上本件発明の技術的範囲に属するか(構成要件A-3,同D,同E,同F及び同Gの充足性)(争点1-2)
ウ 被告物件は,本件発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するか(争点1-3)
(2) 本件発明についての特許は特許無効審判により無効とされるべきものか(争点2)
具体的には,仮に,被告物件が本件発明の技術的範囲に属する場合に,被告物件に係る発明が本件優先日前に公然知られた発明又は公然実施された発明であるかが争われている。
(3) 被告は被告物件を販売しているか(販売の差止めの必要性)(争点3)
(4) 原告の損害及びその額(争点4)
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裁判所の判断
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- 本件特許の特許請求の範囲の記載及び本件明細書等の記載を総合的に考慮すると,構成要件A-3については「前記抵抗器群の四側面を覆う絶縁素材で構成された枠を含む抵抗ユニットが2以上設けられ,」との意味に解釈するのが相当である。
- 被告物件は,いずれも,抵抗器に平行な枠をアルミ板すなわち導電素材で構成しているものと認められる(甲4~6)。このため,上記構成要件A-3の解釈を前提とすると,被告物件がいずれも構成要件A-3を充足しないことは明らかである。したがって,この点に関する原判決の判断に誤りはない。
- 構成要件A-3の「枠」(の四側面)を絶縁素材により構成する点は,構成要件Eと合わせることにより,6600Vもの高電圧においても絶縁を維持するという本件発明の主要な目的を達成するための構成であるということができる。したがって,これをもって本件発明の本質的部分に係るものというべきである。そうすると,枠の二側面をアルミ板で構成した被告物件は,いずれも本件発明とはその本質的部分において相違していることになるから,いわゆる均等の第1要件を満たさない。したがって,この点に関する原判決の判断に誤りはない。
- 以上より,控訴人の請求を棄却した原判決の判断は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとする。
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キーワード
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構成要件充足性(構成要件A-3)/均等侵害
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判決文