事件番号等
|
平成29年(行ケ)第10083号 審決取消請求事件
|
裁判年月日
|
平成29年12月21日
|
担当裁判所
|
知的財産高等裁判所(第4部)
|
権利種別
|
特許権(「旨み成分と栄養成分を保持した無洗米」)
|
訴訟類型
|
行政訴訟:審決(無効・成立)
|
結果
|
審決取消
|
趣旨
|
- 特許庁が無効2015-800173号事件について平成29年3月24日にした審決のうち,特許第4708059号の請求項1に係る部分を取り消す。
|
取消事由
|
- 明確性要件に係る判断の誤り
|
裁判所の判断
|
- 請求項1に「摩擦式精米機により搗精され」及び「無洗米機(21)にて」という製造方法が記載されているとしても,本件発明に係る無洗米のどのような構造又は特性を表しているのかは,特許請求の範囲及び本件明細書の記載から一義的に明らかである。よって,請求項1の上記記載が明確性要件に違反するということはできない。
- したがって,本件訂正後の特許請求の範囲請求項1の記載は明確であって,これが明確性要件に違反するということはできない。よって,取消事由は理由がある。
- よって,原告の請求は理由があるからこれを認容する。
|
キーワード
|
特許請求の範囲の記載要件(明確性)/プロダクト・バイ・プロセス・クレーム(PBP)
|
実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
イ 他方,前記最高裁判決が,物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において,当該特許請求の範囲の記載が明確性要件に適合するといえるのは,出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると判示した趣旨は,特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合の技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定されるが,そのような特許請求の範囲の記載は,一般的には,当該製造方法が当該物のどのような構造又は特性を表しているのかが不明であり,権利範囲についての予測可能性を奪う結果となることから,これを無制約に許すのではなく,前記事情が存するときに限って認めるとした点にある。
そうすると,特許請求の範囲に物の製造方法が記載されている場合であっても,上記一般的な場合と異なり,当該製造方法が当該物のどのような構造又は特性を表しているのかが,特許請求の範囲,明細書,図面の記載や技術常識から一義的に明らかな場合には,第三者の利益が不当に害されることはないから,明確性要件違反には当たらない。
判決文