平成29年(ネ)第10060号 特許権侵害行為差止等請求控訴事件:ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造
事件番号等
|
平成29年(ネ)第10060号 特許権侵害行為差止等請求控訴事件
|
裁判年月日
|
平成29年11月28日
|
担当裁判所
|
知的財産高等裁判所(第4部)
(原審・東京地方裁判所平成26年(ワ)第34678号)
|
権利種別
|
特許権(「ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造」)
|
訴訟類型
|
民事訴訟
|
結果
|
控訴棄却
- 本件控訴を棄却する。
- 控訴費用は控訴人の負担とする。
- なお,原判決主文第2項のうち,半製品の廃棄に係る部分は,被控訴人の訴えの取下げにより,失効している。
|
趣旨
|
- 控訴の趣旨
(1) 原判決を取り消す。
(2) 被控訴人の請求をいずれも棄却する。
(3) 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。
2 控訴の趣旨に対する答弁
(1) 主文1,2項と同旨
(2) なお,被控訴人は,当審において,第1審で求めていた半製品の廃棄に係る部分につき,訴えを取り下げた。
|
争点
|
- 被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか
ア 構成要件Aの「ロータリバルブ」の充足性
イ 構成要件Cの「ロータリバルブを付勢する圧縮反力伝達手段」及び構成要件Fの「スラスト軸受手段の少なくとも一方は前記圧縮反力伝達手段の一部をなし」の充足性
ウ 構成要件Eの「前記軸孔の内周面に前記ロータリバルブの外周面が直接支持される」及び「唯一のラジアル軸受手段」の充足性
- 本件発明に係る特許は特許無効審判により無効にされるべきものか
ア 〔無効理由1〕乙19発明による新規性欠如
イ 〔無効理由2〕乙19発明及び乙4発明による進歩性欠如
ウ 〔無効理由3〕乙21発明並びに周知技術及び慣用技術による進歩性欠如
- 本件訂正による対抗主張の成否
ア 本件訂正が訂正要件を充たしているか
イ 本件訂正により争点(2)の無効理由を解消することができるか
ウ 新たな無効理由の存否
|
裁判所の判断
|
- 本件特許には無効理由が存在するものの,適法な訂正請求をしたことにより当該無効理由が解消されるというべきである。そして,被告各製品は本件発明の技術的範囲に属するところ,控訴人は,被告各製品が,本件訂正に係る本件訂正発明の構成,すなわち,「前記ロータリバルブの外周面は,前記導入通路の出口を除いて円筒形状とされ」との構成,及び「前記ロータリバルブの各導入通路は前記回転軸内に形成された通路を介して連通し」との構成を充足することは争わない。したがって,被告各製品は本件訂正発明の技術的範囲に含まれるというべきである。
- 以上のとおり,被控訴人の請求はいずれも理由があるから,被控訴人の請求をいずれも認容した原判決は,相当であって,本件控訴は,これを棄却すべきである。なお,被控訴人は,当審において,第1審で求めていた半製品の廃棄に係る部分を取り下げ,原判決主文2項のうち,半製品の廃棄に係る部分は,当然にその効力を失っているから,その旨を明らかにすることとして,主文のとおり判決する。
|
キーワード
|
構成要件充足性/特許の有効性(進歩性,訂正の再抗弁の可否)
|
判決文