平成28年(ワ)第24175号 特許権侵害差止等請求事件:気体溶解装置及び気体溶解方法
事件番号等
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平成28年(ワ)第24175号 特許権侵害差止等請求事件
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裁判年月日
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平成29年9月31日
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担当裁判所
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東京地方裁判所(民事第46部)
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権利種別
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特許権(「気体溶解装置及び気体溶解方法」)
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訴訟類型
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民事訴訟
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結果
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請求棄却
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趣旨
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- 被告は,別紙1被告製品目録記載の製品(以下「被告製品」という。)を輸入し,販売し,貸し渡し,又は販売若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
- 被告は,被告製品及びその半製品を廃棄せよ。
- 被告は,原告に対し,3980万円及びこれに対する平成28年8月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
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争点
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- 被告製品の本件発明1及び2の技術的範囲への属否(被告らは後記ア~キ以外の構成要件の充足性を争わない。)
ア 「取出口」(構成要件A,E)の充足性
イ 「溶存槽」(構成要件D,E,F)の充足性
ウ 「前記溶存槽及び前記取出口を接続する管状路」(構成要件E)の充足性
エ 「前記溶存槽及び前記取出口を接続する管状路」(構成要件E)についての均等侵害の成否
オ 「溶存槽に貯留された・・・水素水を前記加圧型気体溶解手段に送出し加圧送水して循環させ」(構成要件F)の充足性
カ 「溶存槽に貯留された・・・水素水を前記加圧型気体溶解手段に送出し加圧送水して循環させ」(構成要件F)についての均等侵害の成否
キ 「前記溶存槽から前記加圧型気体溶解手段を経て前記溶存槽への循環経路」(構成要件G)の充足性
- 本件特許の無効理由の有無(本件特許権の行使の可否。特許法104条の3第1項)
ア 本件発明1の二重特許禁止(同法39条3項)の違反
イ 本件発明1のサポート要件(同法36条6項1号),明確性要件(同項2号)及び実施可能要件(同条4項1号)の違反
ウ 本件発明2のサポート要件,実施可能要件,明確性要件の違反
- 原告の損害額
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裁判所の判断
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- 構成要件Eにおける「前記溶存槽及び前記取出口を接続する管状路」とは,「溶存槽」と「取出口」を接続する部材を「管状路」に限定し,管状路の両端に溶存槽と取出口が接続される構成とする趣旨であり,「溶存槽」と「取出口」の間に水素水にかかる圧力の調整ができなくなる部材を含まないものと解される。
構成要件Eの管状路の意義は前記のとおりのもので,「溶存槽」と「取出口」の間に水素水にかかる圧力の調整ができなくなる部材を含まないものであるところ,大気圧下にある冷水タンクにおいては水素水にかかる圧力の調整ができなくなるから,細管から取出口である開口部を含む金属管に至るまでに冷水タンクがある被告製品において,冷水タンクに金属管が溶接され,細管と冷水タンクの接続箇所及び冷水タンクと金属管の接続箇所の距離が近いとしても,被告製品の細管が構成要件Eの管状路であるということはできない。原告の主張は採用することができない。
したがって,被告製品の細管が構成要件Eを充足すると認めることはできない。
- 「管状路に当たる細管が,カーボンフィルタの出口と気体溶解装置内に設けられた冷水タンクの入口を接続する」という被告製品の構成は,均等侵害の第一要件,第二要件及び第三要件を満たさないから,被告製品の上記構成が本件発明1の構成要件Eと均等であるとは認められない。
- 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求にはいずれも理由がないから,これらを棄却する。
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キーワード
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構成要件充足性(構成要件E)/均等侵害
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判決文