事件番号等
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平成28年(行ケ)第10220号 審決取消請求事件
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裁判年月日
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平成29年7月4日
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担当裁判所
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知的財産高等裁判所(第4部)
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権利種別
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特許権(「給与計算方法及び給与計算プログラム」)
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訴訟類型
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行政訴訟(拒絶)
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結果
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審決取消
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趣旨
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- 特許庁が不服2015-21527号事件について平成28年8月16日にした審決を取り消す。
- 訴訟費用は被告の負担とする。
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取消事由
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本願発明の容易想到性の判断の誤り
(1) 引用発明の認定の誤り
(2) 相違点1及び2に係る容易想到性の判断の誤り
(3) 相違点3の認定及び容易想到性の判断の誤り
(4) 相違点5に係る容易想到性の判断の誤り
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裁判所の判断
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- 当業者が,引用発明において,相違点5に係る本願発明の構成を備えるようにすることを容易に想到するということはできないから,本件審決の前記認定判断には誤りがあり,その誤りは本件審決の結論に影響を及ぼすものである。
- 以上のとおり,原告主張の取消事由は理由があるから,本件審決を取り消す。
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キーワード
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進歩性(引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断)/周知技術の認定/動機付け
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実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
ウ 以上のとおり,周知例2,甲7,乙9及び乙10には,「従業員の給与支払機能を提供するアプリケーションサーバを有するシステムにおいて,企業の給与締め日や給与支給日等を含む企業情報及び従業員情報を入力可能な利用企業端末のほかに,①従業員の取引金融機関,口座,メールアドレス及び支給日前希望日払いの要求情報(周知例2),②従業員の勤怠データ(甲7),③従業員の出勤時間及び退勤時間の情報(乙9)及び④従業員の勤怠情報(例えば,出社の時間,退社の時間,有給休暇等)(乙10)の入力及び変更が可能な従業者の携帯端末機を備えること」が開示されていることは認められるが,これらを上位概念化した「上記利用企業端末のほかに,およそ従業員に関連する情報(従業員情報)全般の入力及び変更が可能な従業者の携帯端末機を備えること」や,「上記利用企業端末のほかに,従業員入力情報(扶養者情報)の入力及び変更が可能な従業者の携帯端末機を備えること」が開示されているものではなく,それを示唆するものもない。
実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
なお,引用発明においては,事業者端末にタイムレコーダが接続されて従業員の勤怠データの収集が行われ,このデータが給与計算サーバ装置に送信されて給与計算が行われるという構成を有するから,給与担当者における給与計算の負担を削減し,これを円滑に行うということが,被告の主張するように自明の課題であったとしても,その課題を解決するために,上記構成に代えて,勤怠データを従業員端末のウェブブラウザ上に表示させて入力させる構成とすることにより,相違点5に係る本願発明の構成を採用する動機付けもない。
判決文