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知財裁判例速報

平成29年(ワ)第4222号発信者情報開示請求事件:写真の著作物

  • 2017/06/19
  • 知財裁判例速報

事件番号等

平成29年(ワ)第4222号 発信者情報開示請求事件

裁判年月日

平成29年6月9日

担当裁判所

東京地方裁判所(民事第40部)

権利種別

著作権(写真の著作物)

訴訟類型

民事訴訟

結果

請求認容

趣旨

  1. 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
  2. 訴訟費用は被告の負担とする。

争点

(1)権利侵害の明白性

(2)発信者情報開示を受けるべき正当理由の有無

裁判所の判断

  • 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由があるから,これを認容する。

キーワード

プロバイダ責任制限法4条1項/複製権/公衆送信権/引用の抗弁



実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

 被告は「権利が侵害されたことが明らかであるとき」といえるためには,不法行為の成立を阻却する事由の存在をうかがわせるような事情が存在しないことまでをも意味するところ,原告は不法行為の成立を阻却する事由の存在をうかがわせるような事情が存在しないことを何ら主張・立証していない旨主張する。
 しかし,被告の解釈を前提とした上で,例えば適法引用(著作権法32条1項)の成否につき検討してみると,他人の著作物を引用(著作権法32条1項)して利用することが許されるためには,引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致したものであり,かつ,引用の目的との関係で正当な範囲内,すなわち,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであることが必要であるところ,本件発信者による本件記事の掲載は公正な慣行に合致したものでもなく,また,引用の目的上正当な範囲内にあるといえないことは明らかであり,その他一件記録を精査しても,本件発信者による原告写真に係る複製及び公衆送信につき,著作権法上の権利制限事由の存在及びその他不法行為の成立の阻却事由の存在を基礎づける事実は何らうかがわれない
したがって,被告の上記主張は採用することができない。

 

判決文