事件番号等 |
平成28年(行ケ)第10186号 審決取消請求事件 |
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裁判年月日 |
平成29年3月21日 |
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担当裁判所 |
知的財産高等裁判所(第4部) |
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権利種別 |
特許権(「摩擦熱変色性筆記具及びそれを用いた摩擦熱変色セット」) |
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訴訟類型 |
行政訴訟:審決(無効・成立) |
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結果 |
審決取消 |
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趣旨 |
特許庁が無効2014-800128号事件について平成28年6月28日にした審決のうち,特許第4312987号の請求項1,5ないし7及び9に係る部分を取り消す。 |
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取消事由 |
容易想到性の判断の誤り (1) 相違点4の認定及び容易想到性の判断の誤り (2) 相違点1に係る容易想到性の判断の誤り (3) 相違点3に係る容易想到性の判断の誤り (4) 相違点5に係る容易想到性の判断の誤り |
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裁判所の判断 |
・当業者において相違点5に係る本件発明1の構成を容易に想到するということはできず,したがって,本件審決は,相違点5に係る本件発明1の構成の容易想到性を認めた点において誤りがある。 ・本件審決の容易想到性に関する判断には誤りがあり,原告ら主張の取消事由は理由があるから,本件審決は取消しを免れない。 ・よって,原告らの請求をいずれも認容する。 |
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キーワード |
進歩性(相違点の認定,相違点の判断) |
実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
(エ) 仮に,当業者において,摩擦具9を筆記具の後部ないしキャップに装着することを想到し得たとしても,前記エのとおり引用発明1に引用発明2を組み合わせて「エラストマー又はプラスチック発泡体から選ばれ,摩擦熱により筆記時の有色のインキの筆跡を消色させる摩擦体」を筆記具と共に提供することを想到した上で,これを基準に摩擦体(摩擦具9)の提供の手段として摩擦体を筆記具自体又はキャップに装着することを想到し,相違点5に係る本件発明1の構成に至ることとなる。このように,引用発明1に基づき,2つの段階を経て相違点5に係る本件発明1の構成に至ることは,格別な努力を要するものといえ,当業者にとって容易であったということはできない。…
さらに,仮に,当業者において摩擦具9を筆記具の後部ないしキャップの頂部に装着することを容易に想到し得たとしても,前記⑵オ(エ)のとおり,それは,引用発明1に基づき,2つの段階を経て相違点5に係る本件発明1の構成に至ることになるから,格別な努力を要するものといえ,当業者にとって容易であったということはできない。