事件番号等 |
平成28年(行ケ)第10158号 審決取消請求事件 |
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裁判年月日 |
平成29年3月14日 |
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担当裁判所 |
知的財産高等裁判所(第4部) |
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権利種別 |
特許権(「建物のモルタル塗り外壁通気層形成部材及びその製造方法並びに建物のモルタル塗り外壁通気層形成工法」) |
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訴訟類型 |
行政訴訟:審決(無効・不成立) |
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結果 |
請求棄却 |
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趣旨 |
特許庁が無効2014-800021号事件について平成28年6月7日にした審決を取り消す。 |
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取消事由 |
(1) 拡大先願に係る認定・判断の誤り(取消事由1) (2) 明確性の要件(特許法36条6項2号)に係る判断の誤り(取消事由2) |
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裁判所の判断 |
・相違点1及び2に係る本件発明の構成は,先願明細書等に記載されているということはできず,したがって,本件発明は,先願明細書等に記載された発明ではない。よって,取消事由1は,理由がない。 ・本件特許請求の範囲請求項1の「前記通気胴縁部の上面の幅が,該通気胴縁部の底面の幅よりおよそ1.3倍以上を有する逆台形」との記載が不明確ということはできない。よって,取消事由2は,理由がない。 ・以上のとおり,原告ら主張の取消事由にはいずれも理由がない。よって,原告らの請求はいずれも棄却する。 |
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キーワード |
先願発明との同一性(拡大先願(特許法第29条の2))/明確性(「上限値」を特定していない) |
実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
3 取消事由2(明確性の要件に係る判断の誤り)について
(1) 原告らは,本件特許請求の範囲請求項1の「前記通気胴縁部の上面の幅が,該通気胴縁部の底面の幅よりおよそ1.3倍以上を有する逆台形」につき,「およそ1.3倍以上」の記載が上限値を特定していないとしても,必ずしも不明確とはいえないとの本件審決の判断は,誤りである旨主張する。
しかし,本件発明は,建物のモルタル塗り外壁通気層形成部材に関するものであるところ,逆台形とされる通気胴縁部の上面の幅が大きすぎると,十分な外壁通気層を形成することが困難になることは明らかである(【図1】【図2】参照)。また,本件発明において,通気胴縁部の形状は,上記形成部材の重ね合わせ敷設の目印形状となるものであり,上面の幅を底面の幅のおよそ1.3倍以上とするのは,重ね合わせ時に作業性を損なわないようにするためであるところ(【0009】【0029】),上面の幅が大きすぎると,重ね合わせ時に位置が定まりにくく,作業性が損なわれる。
よって,通気胴縁部の上面の幅については,十分な外壁通気層を形成することができ,かつ,モルタル塗り外壁通気層形成部材の重ね合わせ敷設時の作業性を損なわない大きさをもって上限とすることは,当業者にとって自明の事項というべきである。
したがって,本件特許請求の範囲請求項1の「前記通気胴縁部の上面の幅が,該通気胴縁部の底面の幅よりおよそ1.3倍以上を有する逆台形」との記載が不明確ということはできない。