事件番号等 |
平成28年(行ケ)第10025号 審決取消請求事件 |
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裁判年月日 |
平成28年11月08日 |
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担当裁判所 |
知的財産高等裁判所(第3部) |
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権利種別 |
特許権(「ロール苗搭載樋付田植機と内部導光ロール苗」) |
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訴訟類型 |
行政訴訟(拒絶) |
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結果 |
請求棄却 |
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趣旨 |
特許庁が不服2014-26857号事件について平成27年12月7日にした審決を取り消す。 |
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取消事由 |
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裁判所の判断 |
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キーワード |
進歩性(引用発明の認定,相違点の判断)/特許請求の範囲の記載要件(明確性)/不可能・非実際的事情(プロダクト・バイ・プロセス・クレーム) |
実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合(いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの場合)において,当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは,出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当であるところ(最高裁判所第二小法廷平成27年6月5日判決・民集69巻4号700頁参照),本願補正発明1及び2に係る前記の各記載は,いずれも,形式的にみれば,経時的な要素を記載するものといえ,「物の製造方法の記載」がある,すなわち,プロダクト・バイ・プロセス・クレームに該当するということができそうである。
しかしながら,前記最高裁判決が,前記事情がない限り明確性要件違反になるとした趣旨は,プロダクト・バイ・プロセス・クレームの技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定されるが,そのような特許請求の範囲の記載は,一般的には,当該製造方法が当該物のどのような構造又は特性を表しているのかが不明であり,権利範囲についての予測可能性を奪う結果となることから,これを無制約に許すのではなく,前記事情が存するときに限って認めるとした点にある。
そうすると,特許請求の範囲に物の製造方法が記載されている場合であっても,前記の一般的な場合と異なり,当該製造方法が当該物のどのような構造又は特性を表しているのかが,特許請求の範囲,明細書,図面の記載や技術常識から明確であれば,あえて特許法36条6項2号との関係で問題とすべきプロダクト・バイ・プロセス・クレームに当たるとみる必要はない。